フレットって交換するものですか?
■フレットは消耗品です。
ギターには「フレット」 と呼ばれる金属の棒が指板に埋め込んであります。
この金属でできたフレットが減ると聞いたら、「えっ?」 と驚くでしょうか?
弦も金属なので、こすれると減っていくんです。
私のメインギターのモーリスは20年使ってますが、 目立って減ったフレットはありません。
一方中古で買ったARIAはけっこう減っているフレットがありま す。
下の写真は2弦の2フレットですが、赤い○の部分が減っているのが判るでしょうか?
■なぜ減るのでしょうか?
減り方は演奏者の演奏の仕方に大きく左右されるので、 どれくらいの期間がたてばとは一概に言えません。
特に、 チョーキングと言って弦を指で押さえたままフレットの上で弦を上 に押し上げる動作。 これは弦にフレットがこすり上げられる形になりフレットが削れます。上の写真はまさにそれです。
また、ハンマーリングオンと言って、 指で弦をハンマーのようにたたきつけて音を出す( フレットが弦に叩かれる) こういった演奏をよくする人のフレットは早く減ってしまうわけで す。圧倒的に演奏の時間が多い人も当然ですが減ります。
■フレットが減るとどうなるのでしょう?
フレットの減りがすすんでくると、 弦が当たる部分がへこんでしまって音がビビるようになります( ビーンといった感じですね)
また、弦が接するポイントがずれてくるので、ブリッジからの距離が変わり微妙にずれてくることになります。ポイントが0.5ミリずれればまあまあ耳のいい人なら「変だなあー」と思うはずです。この状態が1ケ所ならともかく何か所もあったら、さすがに音程的にバランスの悪いギターになってしまいます。
中古で買ったARIAはこの兆候が激しくなってきました。といっても3000円で買ったのでどうする気もありませんが・・・。
■そもそもこのフレットというものは何でできているのでしょうか?
フレットは「洋白」(ようはく)または「洋銀」(ようぎん) という聞きなれない金属でできています。 英語で言うと「ニッケル・シルバー」(といっても銀は含まれていません。輝きが銀色だから)
身近なものとしては100円硬貨が近いです。鉄オタさんは鉄道模型のレールなんかもそうです。
成分はベースの銅にニッケル・亜鉛を混ぜたいわゆる「合金」 です。そこそこ硬くて加工しやすいというのがこの材料の特徴で、ギターでは伝統的にこの金属が使われています。
弦に使われるブロンズよりすこーしだけ柔らかいので、使用するにしたがって削れて行く運命にあります。
もっと硬い金属を使えばとステンレス材で作られたフレットもあり ますが。硬いので加工に手間がかかり当然金額的にも高くなります。
■フレット交換の料金はどれくらい?
楽器店にお願いするか、工房にお願いすることになります。
症状が軽いと「すり合わせ」 というフレットを削って平らにする作業で修正できる場合もあります 。 へこんだ部分の高さに合わせて全体を削るので、全体のフレットの高さが低くな ります。
削っただけでは平らになって音程がダメになるので、 元の丸みをつける作業も加わります。一般的に4~5万円かかると思ってください。修理の期間も1か月から、 他の修正も必要だと3か月くらいかかります。
根本的にリフレットと言ってフレットを新しいものに交換する作業は、それこそ10万円ほどかかります。古いフレットを抜いて、指板の下地を整えて、新しいフレットを調整して埋め込んで、磨いて、全体を調整して。
もっと安い工賃の店もありますが、 この仕事は仕上げに時間がかかるので、 安いお店は仕上げが悪いと思ってください。
という事は10万円程度で買ったギターなら買い換えたほうが良い という判断が妥当ですね。思い入れのあるギターは別ですよ・・・。
ちなみに・・・自分でやろうとするチャレンジャーもおられます。チャレンジ精神は見上げたものですが、やめましょう。失敗するのが嬉しい人は別です(笑)
■ギターを長く使うには
①フレットを酷使する「チョーキング」や「ハンマリング」 を練習するときは、使い込んだサブのギターを使います。
まだ初心者の方はサブやサブサブのギターがあるわけないのですが ・・・・。 逆にそういった練習をするレベルにはないとも言えますのでそうい った心配はないでしょう。
②古くてサビの出た弦は使わない。
③同じフレットばかり弾かない。それは無理(笑)
フレットの状態はリサイクルショップで中古のギターを見て研究し てください。 全体はきれいでもフレットの減ったギターは安い値段がついている はずです(よくあります)
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(ギター歴だけはトップクラスの私がギター人口を増やしたい一心で運営しております)