私が高校生の頃、ナルシソ・イエペスというギター奏者に会う事が出来ました。
中学校からの親友が高校に入ってからギター部に入っていたのですが(彼とは高校が違いました)
そのギター部の先輩という人が、イエペスに弟子入りのため会いに行くので一緒に来ないかと誘われたんです。
私も、ギターはクラシックから入ったのでイエペスがどんな人かは知っていました。 まさに「神の手」、「ギターの神様」です。
イエペスは新人の頃に偶然出会った「ルネ・クレマン」という監督の「禁じられた遊び」という映画作品の音楽を担当する事がきっかけに、一躍有名ギタリストの仲間入りを果たし、独創的で革新的な演奏で 愛好家を魅了しました、
当時(今もそうかもしれませんが)。ギター奏者の世界は徒弟制度で「弟子になる」というスタイルが厳然と存在していたんですね。
メールもネットもないその時代に、その「先輩」という人がどうやってイエペスに会う機会を得たのか今となっては判りません。
日本公演に来ていたイエペスに、ホテルで会うというので、その先輩、親友、私の3人で電車に乗って梅田だったかな、とことこ行きました。
イエペスは17回も来日して公演をされており、私が会えたのは1972年か73年だと思います。 彼は大阪のホテルの一室で待っていてくれました。
私も「マイネームイズ、○○」と握手をしてもらいました。傍らでは、当時日本のクラシックギター界の巨匠 小原安正氏が同席して通訳をしてくれました。
さて、早々にその先輩さんは世界のイエペスの前で持ってきたギターを弾きました。何を弾いたのか記憶にありませんが、おそらく彼は心臓が爆発するほど緊張したと思います。
弾き終わると、イエペスは何やら「にこにこ」と先輩さんに話しかけまして、小原氏の通訳では「君の薬指は、鼻でもかいているのかい?」との事でした。 そして、そのギターを手に取って「こう弾くんだよ」と弾いた音色の素晴らしい事! 同じギターから出る音とは思えませんでした。
先輩さんは弟子にはなれませんでした。
日本人ではいまや星のようにきらめいている「彼の弟子たち」がおられます。 みなさんそんな飛び入りみたいな形で弟子になったわけではないと思いますが。
ナルシーソ・イエペスさんに会った話でした。
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