川島なお美さん 「サマー・バケーション」の秘密

ソロギターに熟練してくると、自分の好きな曲を即興で弾けるようになります。即興ですから完成度は低いですが、ふと思いついて、立てかけたギターを手に取ってメロディーをなぞってみるのは趣味としてのソロギターの醍醐味といえます。

さて、川島なお美さんといえば、残念ながら2015年の9月に亡くなられて久しいのですが、彼女の歌手としての側面をお話ししたいと思います。

今回思い出して弾いてみたのは「サマー・バケーション」という曲です。 もちろんほとんどの方は知らないと思います。

若い頃の川島なお美さん

川島さんは愛知県名古屋市の出身で、大須にあった「平尾昌晃歌謡教室」(現在の平尾昌晃ミュージックスクール)という音楽学校の生徒さんでした。当時は高校生。 私は当時名古屋にいたのですが、この界隈はこの頃は秋葉原のような電気の町で、電気店がたくさん同居している汚いビルの中この学校があったのを覚えています。

この学校は主催者だった平尾昌晃さんがすでに故人ですが、今も東京と大阪で活動していて輩出ミュージシャンの中には川島さんも名を連ねています。

この曲は、1983年に発売された「GEMINI(ジェミニ)」という曲のB面です。1979年が歌手デビューで、何曲かシングルを発売。鳴かず飛ばずの時代を経て彼女が世に出たのは1981年からの文化放送「ミスD.J.リクエストパレード」の女子大生パーソナリティーとしてです。これを契機に当時の雑誌のグラビアを総なめにしたのは我々の世代であればよく知るところです。

「ジェミニ」は当時売れっ子の中原めいこさんの作詞・作曲。川島さんの曲の中では3万枚と少ないものの最大ヒット曲です。テレビで歌うことがあるときは(もちろんヒットした曲ではないので当時の夜のヒットパレードなどの歌番組には出たことがなかったと思います)よく歌われていました。 サマーバケーションはどうでもいいB面の曲ですから。だれも知らないのですがわたしは好きです。

サマーバケーションの作曲は村田和人さん(この方も故人です)。作詞は安藤芳彦さんという方です。

このシングル発売の約1年後の1984年に村田和人さんがセルフカバーして、竹内まりあさんとのデュエット曲として「MY CREW」という3枚目のアルバムの10曲目に収録しています。

驚くのは川島さんのバージョンとは詩の内容が全く違うことです。同じく安藤芳彦さんの作詞ですが、何か問題があったのでしょうかね?竹内まりあさんとのデュエット曲というのも何か変な気がします。

竹内まりあさんが、「この曲は素敵だけど、かわいいだけのアイドルと同じ歌詞じゃいやだわ」と言ったのじゃないかな・・・・? なんて私の妄想です。竹内さんは1980年にすでに「不思議なピーチパイ」が大ヒットした売れっ子でしたからね。

作曲者の村田和人さんはアマチュアの頃からの山下達郎さんファンでして、山下さんのプロデュースでなければデビューしないとゴネたくらいです。 縁あってめでたく山下さんのプロデュースでデビューしたのが1982年。その年に山下さんと竹内さんが結婚しています。

若い頃の村田和人さん

竹内さんとのデュエットをしたがっていた村田さんは、このサマーバケーションをわざわざデュエット向けに書き直してくれるように安藤芳彦さんに頼んだというのが真相のようです。 元の詩は失った恋を思う女性目線の曲でしたからね。

頼まれた安藤さんもいい迷惑だったでしょう(詩もなんか無理やり感があります)。おそらく事情を知らずに歌った竹内さんもね。 川島さんは知っていたでしょうか? もし知らされたとしても、当時の事務所は弱小でしたから山下達郎一家の威光には逆らえなかったでしょう。たかがB面ですし。

セルフカバーで歌詞まで変えてしまうのはコミックソングなどではありますが(嘉門達夫さんとかの、いわゆる替え歌)、デュエット曲にするために詩を書き換えた曲は、後にも先にもこの曲だけでしょう。

まあ、この「サマーバケーション」どちらもヒットしませんでしたから話題にならないのですが、こんなこともあるのですね。

いずれにしても、すっごくいい曲だとおもいます。

川島なお美さんの1983年バージョン

掲載ページのジャケットは1983年7月発売の3枚目のアルバム「シャワーのあとで」。3曲目に収録されています。 コーラスが入ったきれいな編曲です。編曲はかの新川博さん。 余談ですが、このアルバムには秋元康さんが12曲中6曲に詩を提供。森雪之丞さん、康珍化さんの大御所も詩を提供するなどかなり力の入ったアルバムでした。

村田和人さんと竹内まりあさんの1984年デュエットバージョン

竹内まりあさんは、産後の休業が終わった復帰第1作となります。声がお若い! ギターアレンジが前面の編曲です。 ご主人の山下達郎さんは村田さんのパートと自分を入れ替えた曲を自身のラジオ番組で流すなど、なかなか気に入っておられる様子です。

ということで、後日演奏の動画をアップします。

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