ソロギターの初心者が練習していく具体的な方法を解説しています。
この講座は全く不完全な状態でスタートしています。不定期ですが、こつこつと加筆したりコンテンツの追加を行っておりますのでご了承ねがいます。
ソロギターを目指す後進の方々の役に立つように、約50年のソロギター経験を詰め込んでいきます。
ソロギターについて
まず、ソロギターとかフィンガースタイルと呼ばれる演奏のスタイルについて解説します。
コードを押さえる。そしてコードを弾いてリズムを刻みながら歌を歌う。これが「弾き語り」です。
ソロギターはこれとは対極の演奏スタイルで、メロディーを弾きながらところどころに和音を取り混ぜて弾くスタイルで、「ソロギター」とか「フィンガースタイル」と呼びます。
ここではソロギターに統一して解説していきたいと思います。 ソロギターはアコースティックギターの最高峰です。 一歩一歩上がっていかないと高みには到達しません。
ソロギターで扱う曲はオールジャンルで、「映画音楽」(クラシックな名画やジブリのようなアニメ映画の挿入曲)やヒット曲(国内外のポップスから懐かしの昭和の名曲)など幅広く扱います。
ソロギターを弾けるようになるには
残念ながら、基礎的なトレーニングを省いての近道はありません。基礎は指導者につくか、よい教則本で独学することになります。
この講座では、独学で基礎力を高めるエクササイズを紹介するとともに、課題曲を設けて実践で慣れていくように動画を交えながら説明していきますので、必ず中級のレベルにまでは達することができます。
では、基本から解説します。
1)基本の弾き方を覚えましょう。
フィンガースタイルでは特徴的な弾き方がいくつかあります。それらを練習して習得します。
①単音を弾く。主に人差し指と中指でメロディーが弾けるように練習します。
②和音を弾く。2つ、または3つの和音が弾けるように練習します。
③音を装飾する。 メロディーを際立たせるためのテクニックを練習します。
・単音を弾く 主に人差し指と中指
単音・・すなわちメロディーを弾きます。 ギターの指板上(指を押さえるところ)にはたくさんの押さえる位置(ポイント)があるので、全部を把握するのは困難です。また、覚える必要もありません。私の経験的には、必要な位置を自然に覚えていくのが効率的だと思っています。
一番多く使うのは、人差し指と中指を交互に動かして弾く奏法です。 同じ交互でも中指と薬指交互に使うことはありません。 親指も単音を弾くことがありますが、この場合はほとんどの場合ベース音(低音)を変化させるために弾きます。
・和音を弾く
単音とともに重要なのが和音です。メロディーだけでは単調になってしまう演奏に、伴奏を加える役目があります。スタイルとしてはメロディーの一部に和音を重ねて弾く感じです。
・和音を弾く 1(主に高音部の弦での和音です)
パターン1 人差指+中指 の2音の和音
パターン2 中指+薬指 の2音の和音
パターン3 人差指+中指+薬指 の3音の和音
・和音を弾く 2(親指とそのほかの指のコンビネーション)
低音部を親指で弾き、そのほかの指の高音部の音と同時に弾くことで低音が加わった厚みのある和音になります。
パターン1 親指+人差指 の2音の和音
パターン2 親指+中指 の2音の和音
パターン3 親指+人差指と中指 の3音の和音
パターン4 親指+人差指と中指と薬指 の4音の和音
・和音を弾く 3
指3本による「はじき」 人差指と中指と薬指 の3音の和音ですが、前述のスタイルとは弾き方が異なります。握った指をパッと開くようにして小さいダウンストロークで弾きます。親指のベース音と組み合わせてリズム感あふれる演奏が可能です。
上記の演奏の組み合わせが、ソロギターの基本的な演奏です。
・音を装飾するテクニック
1)ハンマーリング オン
弦を左指でたたいて音を鳴らす技術です。
2)ハンマーリング オフ
弦を左指で引っ掛けて音を鳴らす技術です。
※1)と2)を効果的に使うと、右手の指よりも早く音を鳴らすことが出来、いわゆる「早弾き」(はやびき)が可能になります。
3)スライド
押さえている左指を押さえたまま左側(低音側)や右側(高音側)に滑らせて連続音を鳴らす技術です。
4)ビブラート
押さえている指を左右に細かく動かして、音色を装飾する技術です。
5)トレモロ
1つの弦を連続して小刻みに素早く弾きます。ギターは弾いたあとすぐに音が消えて行ってしまうので、バイオリンのような長い音は苦手です。そこで小刻みに弾くことでこれを表現する技術です。主にクラシックギターの奏法ですが、最近の歌詞を詰め込んだ楽曲のメロディーを表現するときにも私は便利に使います。
6)アタックミュート
主に6弦(いちばん太い弦です)を右手の親指で叩く(アタック)ことにより、リズムを刻みます。「チャっ」という音をさせているアレです。
基本的なテクニックは以上ですが、さてこの先はどうしたらいいのでしょうか?
1)他の人の演奏をまねる
yutubeなどで公開されている他の人の演奏を目と耳でまねることになりますが、演奏者以上の力量が無いと、まずできません。
2)TAB譜を見て、そのとおりに弾く
TAB譜が読めれば、時間をかけてその通りに弾けばそのとおりに再現ができます。ただし、上記で説明した基礎の演奏技術が備わっていることが前提です。
3)自作する
弾きたいなと思った曲を自分でギターの運指を作って弾いていきます。まさにソロギターのだいご味です。いちばん難しいですがこれができるようになるとアコギの免許皆伝と言ってもいいでしょう。そのためには
①基礎の演奏技術をちゃんとマスターする。
②自分の得意なキーを決める。
4)楽譜が読めないとソロギターは弾けないか? というと、そんなことはないです。本格的は楽譜が読めなくても、TAB譜というギターに特化した便利なものがありますのでこれを利用すれば直接的に曲が再現できます。
ただし、これも基礎の演奏技術が備わっていることが前提です。
2)エクササイズ
最初に基本の弾き方--右手の指の弾き方を説明します。
①右手で使う指は、小指を除く4本です。 この4本で弦を弾いていきます。
②爪の手入れ。
・それぞれの指は爪を伸ばします(爪で弾くので必須です)
・爪の長さは手のひら側から見て、1ミリ~1.5ミリ。これ以上だと長すぎます。
・親指は伸ばしません。
③右手の構え方
・人差指・中指・薬指で卵をにぎった気持ちで自然に丸めて、そのままだらんと力を抜いて構えます。
・構えた時に親指を除いた指の方向は弦と直角になるようにします。ギターが寝すぎていると直角になりませんから注意してください。
・小指をギターのボディーにくっつけて安定させると教える人がいますが、お勧めしません(パスタを食べるのにスプーンの上でフォークをクルクルするようなもんです)
④ピッキング(爪弾くこと)の方法
・爪で弦をはじきます。この時、指は手のひらに握りこむようにします。手の甲は動かさずに指だけで弾きます。
文章で書くと伝わりにくいので次の動画でポイントを確認してください。
準備として
・右手の3本の指。人差し指・中指・小指の爪を整えます。いまさらながらですが、チューニングはしっかりと。
・ギターのチューニングの方法を解説していますので、やり方がわからない方は下のリンクから確認してください。
音叉を使ったチューニング
チューナーを使ったチューニング(こちらの方がかんたん・・・・チューナーを買う必要がありますけど)
さて、基本の演奏方法を説明します。
1)単音ピッキング(基本)
6弦の1フレットから初めてフレットをひとつづつ順番に押さえて、人差指と中指を交互に弾いていきます。 一番上まで行ったら反対に戻ってきます。
最初のポジションに戻ったら、2弦に移って同じように弾いていきます。
「左指を押さえる - 右の指で弾く」 「次の指で違う音を押さえる - 右の指で弾く」最初はこの左指と右指のタイミングがほとんどの人は合いません。 これを指に叩き込むエクササイズです。
実際の練習を動画で解説します。
2)単音ピッキング(バリエーション)
6弦を小指まで弾いたら、5弦の1フレットから同じように始めます。次々と弦を高いほうに移っていきます。
これも左指の弦変化(弾く弦が移動するということ)に、右指のピッキングポイントを合わせる(弦が変わると右手の位置が変わるということ) 右手のいい練習になります。
変化した弦の幅分、右手の上下の位置が変わる必要がありますが、実際は意識してなんて弾いていません。 手が覚えるまで練習しましょう。
1)と2)は毎日しつこくやります。 慣れてきたらだんだん早く弾けるようになってきます。 ギターにおける最高最上のエクササイズです。
3)単音ピッキング(親指)
親指で弦を弾いていきます。親指の担当は主に低音部、6、5、4弦です。
親指の腹部分左側4分の1くらいで弦を弾きます。 爪を伸ばして爪で弾く人もいますが薦めません(プロでもない限り日常生活に支障が出ます)正統派ではありません。
フィンガーピックを使う人もいますが、以下の理由でお勧めしません。
・自分の生の爪で弾く人差し指と中指、薬指と音量とプラスチック製のフィンガーピックで弾く音量が違います(ピックのほうが大きい) よって音量のバランスが悪いです。
・親指のストロークを混ぜるときがありますが、フィンガーピックをはめていると非常に弾きにくい。
トミーエマニュエルのようなトッププロが器用にストロークされますが、一般的ではないです。(トラビスピッキングのように低音弦をミュートしてこもったベース音を響かせるような奏法では効果的です)
エクササイズだけだと、確実に1週間で挫折しますので、エクササイズをしながら次のような短い課題曲を弾いていきます。