初めに
弦の交換は初心者の方にはハードルが高い作業です。ギターを買ってからもう1年という人。そろそろ弦を交換しないといけないかな?? でも、なかなか重い腰が上がらないのではないでしょうか。
そんな時は、思い切って楽器屋さんに行けばいいんです。どこの楽器屋さんでも「弦交換をお願いします」と言えば、普通にやってくれます。 ただし、有料ですけど(だいたい弦の値段は別で1,000円くらいだと思います)
その時に、お店におまかせしたままカフェで時間をつぶすんじゃなくて、店員さんが交換するのを見学させてもらいましょう。
できれば、疑問に思う事は質問しましょう。
「今、やったのはどんな意味があるんですか?」とか「その道具って何ですか?」とかね。きっと親切に教えてくれますよ。交換する弦はどんなのがおすすめだとかも、教えてもらえばいいんです。
さて、そうやって得た知識を、自分で弦交換にチャンレンジする時に実際にやってみる事です。
最初は失敗する事も想定して、安めの弦のセット(YAMAHAとか)を2セットくらい用意しましょう。
この記事では、弦の交換を出来るだけ判りやすく解説していきます。
なお、「弦の交換」は色んな方が、いろんなやり方で解説記事や解説動画を発表しておられます。いいとこどりした標準スタイルで解説していきますね。
必要な道具
1)弦
交換する弦です。当然ですけど・・・。Amazonでも楽天でもいいし、楽器屋さんでもいいです。初心者さんは安くて安心YAMAHAの弦をお勧めします。
種類がいろいろありますが、そこそこ柔らかくて弾きやすい「スーパーライト」がいいです。
YAMAHA(ヤマハ)ギター弦 スーパーライト 弦の柔らかさで言えば、この下に「コンパウンド」、この上に「ライト」「ミディアム」とランクがあります。 初心者のかたには適度に柔らかくて弾きやすいこれがおすすめです。
2)ギタークロス
まあ、着なくなったTシャツの切れ端でもいいんですけど、できれば「ギタークロス」という楽器をふきふきする専用の布がありますので、ご用意ください。
ダダリオのクリーニングクロス クリーニングっていうくらいなので、これでギターを拭いたりするための布です。 ダダリオってのは弦のメーカー。特にこだわりはないです。どこのでもかまわないです。
3)ピン抜き
「ブリッジピン抜き」とも言います。これがあると作業が楽です。
ピン抜き ブリッジピンをてこの原理でスルッと抜く事の出来るツールです。 こいつはよくなくすので、キーホルダー型になってるのが嬉しいです。
4)ストリングワインダー
「ペグ」と呼ばれる、弦をクルクル巻くねじみたいなところにかぶせて、巻いたりほどいたりするのを楽にする道具です。これもあると作業が早いですけ。こいつは用意しておきたい。
ストリングワインダー ペグを巻く労力を減らしてくれる「巻き巻き」マシーンです。 安いのはカクカクして使用感がわるいです。 これは、私が使っているもので、満足しています。
5)ギター ネックレスト
ギター ネックレスト これがあると、アコギがしっかり固定されて安心感があります。適当な発泡スチロールのかたまりでもあれば、それでもいいですけど、アコギのサウンドに凝ってくると、月イチで弦交換するので、あってもいいかも。
さあ、道具がそろいましたらさっそく弦交換をいたしましょう。
弦を交換します。
1)最初に、今はってある弦を外していきます。6本とも外して素っ裸にします。
・弦を緩めます。
弦がピンと張った状態では外すことは出来ないので、まずはペグ(糸巻き)を回して、弦のテンション(引っ張る力)を緩めます。
※特に「ダルンダルン」になるまで6つの弦それぞれを緩めてくださいね(テンションがかかっていると、とてもやりにくいですから)
ペグを回す方向は左右で逆なんですが、すぐには判らないと思います。なにしろ弦が緩む方向へ回せばいいんです。
ひたすらペグを回します。え? 回すの面倒だって? のび太君なら、すぐにそう言いそうです。いいものがありますよ。
弦をダルダルにしたら、糸巻きに弦がからまってると思います。その弦を6本とも引っこ抜いてください。弦をブチンと切っちゃうと解説している人もいますが、あとでまとめるのが面倒ですから切らないほうがいいです。6本まとめてクルクルまいて燃やせないゴミの日に出しましょう。
2)糸巻きに絡まった弦を全部抜いたら、今度は反対側。ブリッジ部分に刺さっている弦を抜いていきます。
上の写真の丸いピンを抜けば弦が抜けます。でも指でつまんで引っ張ったくらいでは抜けません。
抜く方法は
①裏から指で押して抜く
②ピン抜きを使って抜く
私は圧倒的に②のピン抜きで抜く方法をおすすめします。①は指が痛いです。なのでクリーニングクロスを指に当てて押したりもしますが、それでも抜けない場合があります。
その場合はピン抜きのお世話になります。それなら、最初からピン抜き使った方がいいです。
※ただ、ピン抜きはてこの原理で力を加えるので、てこが当たる部分の木がへこむおそれがあります。なので、クロスをあてがって保護しましょう。
3)6本全部の弦が抜けたでしょうか? ここまでくれば弦の交換は折り返しです。
ここまでの作業で時間がかかるのは、「ペグを回す」時間です。
是非、ワインダーを使って時間短縮をしましょう!
弦を張る場合は、ブリッジに弦を固定するところから始めていきます。
最初に、弦のお尻(丸い輪っかのついているほう)を少し指で曲げておきます。
曲げておかないと、次の作業で弦を「ペグ」で巻き取っていく時にブリッジピンを押し戻して抜けてしまうからです(あとで説明します)
※下の図をご覧ください。アコギの弦は下の写真のように「サドル」という板に支えられて、ブリッジと呼ばれる板に開けられた穴を通じて、アコギの表面板の中で固定されます。
そして、抜けないように、「ブリッジピン」というプラグで押さえられています。断面は下の図のようになっており、へこみの部分に弦が入り込むようになっています。
上の写真の〇の部分を断面図で表すと、下の図のようになります。
最初に説明した弦の先にある丸い輪っかは、上の図のところでひっかかるように考えられています。
よくあるのは、下の図のようにこの丸い輪っかの部分がブリッジピンの先端で止まってしまうって事があります。
そうなると、弦を巻いて行って引っ張る力が加わると、ブリッジピンを押し上げて弦が抜けてしまいます。
なので、ちゃんとしたポジションに引っかかるように、弦の丸い輪っかの部分は折り曲げておくのです。
先を曲げた弦をブリッジの穴に差し込みます。
溝に弦が沿うように向きを合わせ、ブリッジピンをギュッと指で押して差し込みます。
ブリッジピンの頭部分がブリッジに触れるくらいまで深く差し込みます。え?、指が痛い? そんな時は例のクロスをあてて更に押し込んでください。
十分にブリッジピンが差し込まれたら、弦をひぱって、固定されている事を確認します。
正しい位置にポールエンド(輪っか)がセットされているかを確認する方法は無いですが、弦の先を折ってから入れていればまあ大丈夫です。この作業を全部の弦に行って固定します。
ストリングポストに弦を巻いていきます
イメージは下の図を参考にしてください。順番は一番太い、手前の「6弦」からやっていきます。
糸巻きには弦を通す穴が開いていますが、穴の向きが弦を通しやすいように、ペグを回してまっすぐにしておきます。あらかじめ6個ともまっすぐにしておくと、あとあとの作業がスムーズです。
下の図はアコギを横から見た図ですが、6弦を糸巻きの穴に通したら、いったん弦をピーンとひぱってたるみがないように張りましょう。ピンとなったら、下の図のように左の親指で弦を押さえて固定します。
ここからが、弦交換のクライマックスです。よく見て理解してください。
押さえている親指はそのまま、弦を押さえたままで、弦を図の方向にスライドさせます。ちょうど1フレットのあたりまでスライドさせます。
何をしているかと言うと、糸巻きにクルクル巻く分を確保しているんです。これをしないで巻くと、すぐ外れちゃいますし、適当な長さで巻いていくと、とんでもなくたくさん巻くはめになります。ちょうどいい感じの長さを巻くのに誰かが考えた方法なんですね。
さて、スライドさせた弦はもう緩んでいますね。糸巻きの穴に弦は差し込まれていますね。
よろしいです。
では、弦を押さえている右手の親指はそのままです。左手で糸巻きから出ている弦を手前に折ってください。弦が曲がってもとに戻らないようにしっかりギュッと曲げてください(6弦は太いので力を加えてくださいね)
しっかり弦が曲がって「折り目」がついたら、第一ステップ「クリア」です。
次に、右手の親指はそのまま離さずにいてください。左手でペグを回していきます。
回す方向は判りますか? 時計と反対周りです。ここを間違えると面倒です。
下の図は、糸巻きに弦が巻かれていく様子を上から見た図です。弦には折り目がついていますから、ペグを回すと戻る事はなく、どんどん巻き取られていきます。
フリーになっている方の弦は遊ばせずに、図の方向にキープしてください。ここまでくれば、押せていた右の親指は開放してあげてください。
ペグ委を右手で巻きながら、フリー弦を支えてください。
③の位置に弦が来ると、弦同志がクロスしてきます。この際、フリーの方の弦が下に来るようにガイドしてください。
このようにして、6弦が巻けたら。と言ってもどれくらい巻けたらOKか、判らないと思います。
目安としては、弦がダルンダルンで無くなえれば、とりあえずOKだと思ってください。
あとで、正しく調整していきます。
ここまでくれば、第2ステップ クリアです。 ちょっとお茶でも飲んで休憩しましょう。
さて、6弦が曲がりなりにも巻けたら、5弦、4弦・・・1弦まで同じように巻いていきます。
ここで注意を。2弦と1弦は見るからに細いでしょう? なので、滑りやすいんです。対策として少し多めに糸巻きに巻きます。
方法としては、1フレットまでずらしていたずらしの量を2フレットまでずらして、巻く弦の長さを増やします。巻く時の方法は同じです。
さあ、うまく6本巻けたでしょうか? 失敗しても再度挑戦してください。予備の弦は買ってありますね。
よくある失敗
1)エンドピンが飛び出てきてしまう。
前述の状況です。弦の先っぽの輪っかがエンドピンの先端に掛かってしまってます。再度、輪っか部分をよーくまげて穴に入れてエンドピンで押さえてください。
弦を引っ張ってみて、エンドピンが浮いてこないようならオーケーでしょう。
2)弦の順番を間違えた
よく確認しましょうね。ヤマハの弦なら番号ごとに袋に入っているので間違えにくいです。なお、いちど巻いてしまった弦はもったいないですが、使えません。切れやすくなってますし、音程の調整もうまくいきません。
3)いくら巻いても、弦が張っていかない
ちゃんと巻き代の調整しましたか? 1フレットずらすとかです。ダルンダルン状態で巻き始めるとピンと張ってくるまで、かなりペグを巻かなければなりません。 第一糸巻きが弦で蛇がとぐろを巻いたようになります。こうなると音程の調整は難しい場合があります。
ここまでで、弦の交換そのものは終了です。
しかし。ここからが最終ステップのチューニング(調弦)です。
チューニングは、このリンクをたどってください。 ⇒ アコギのチューニング(調弦)の仕方について